轍鮒の急(てっぷのきゅう)〜2
とーとです。やっほー。
前回は「轍鮒の急」の意味だけ説明した。
予告どおり脱線してゆくよ。
荘子様のような立派な人でも食べるのに困って友達に食料を借りに行った。
貧しいってつらいなあ。「それにつけても金のほしさよ」
この、「それにつけても金のほしさよ」というのは、短歌の下の句(五七五七七の、七七のところ)の万能アイテムとしてとても有名だ。
「ちはやぶる かみよもきかず たつたがは それにつけても金のほしさよ」でも、
「まつしまや ああ まつしまや まつしまや それにつけても金のほしさよ」でも意味が通じるというすぐれものだ。
いったい誰が発明したのかインターネットで調べてみたら、大田南畝だとか、別の人だとか、パタリロが広めたとかいろいろな説があるようだ。
とーとは、戦国時代から江戸時代初期を生きた「細川藤孝(幽斎)」という、武将で歌人で料理の達人だった人の話として聞いたことがある。インターネットには出てこなかったので、とーとの思い違いかもしれない。誰が書いた本かも記憶がない。不正確ですみません。
ある時、歌人仲間が、藤孝に「どんな短歌にも合う下の句をみつけたよ」と自慢した。それは、
「という歌は昔なりけり」
というものだった。たしかに、古くからの有名な短歌はもちろんだけど、すべての歌は、今作ったものでもこの瞬間に過去の歌になってしまうから、この発想はたいしたものだった。
藤孝はこれを聞いて、「なるほど、すごいですなあ。しかし、すこし生活感にかけていませんかねえ」とやんわり批判した。むっとして、それなら、なにか別の下の句があるかと問われて詠んだのが
「それにつけても金のほしさよ」だったとのこと。
コピーライターの、糸井重里先生が、昔、週刊誌に「コピー塾」の連載をしていて、コピーの世界に、この「それにつけても金のほしさよ」にあたるフレーズがないかと考えて、発見したのが
「いのち短し」というフレーズだった。
新しいフレーズではない。
「ゴンドラの唄」という有名な歌の、出だしの「いのち短し恋せよ少女(おとめ)」というところから見つけたみたいだけど、「いのち短し 恋せよ少女」でも、「いのち短し 恋などせまじ」でも「いのち短し 選挙に行こう」でも通じるというものだった。
意味は各自で味わって。深いものがあるから。
古くから歌われてきた有名な歌詞だけど、よく思いついたなあ、糸井先生は天才だなあと感心して今日に至っている。
楽しく脱線したね。
いのち短し 今日はここまで
それにつけても 金のほしさよ