匹夫之勇 婦人之仁(ひっぷのゆう ふじんのじん)〜1
とーとです。
事情は細かく話せませんが、とてもさびしいです。
さて、韓信(かんしん)の話に戻る。
彼は、それまで、項羽(こうう)という人に仕えていたが、自分の才能をを認めてくれないので、ライバルの劉邦(りゅうほう)に仕えるにした。しかし、ここでも、なかなか芽が出なかった。
先に天下を統一していた「秦(しん)」が滅びるまでに、いろいろ、紆余曲折があるのだが、とにかく、武力に勝る「項羽(こうう)」が天下の盟主になる。
劉邦(りゅうほう)は、辺境の地に領地を授けられた。中央から遠ざけられたことになる。
辺境の領地に向かう途中で、将来を悲観して、多くの兵が脱走した。
あるとき、「劉邦(りゅうほう)」が、最も信頼している大臣が逃げ出したという情報が入った。
戻ってきた大臣に「劉邦(りゅうほう)」が怒ると、大臣は、
「私は逃げたのではありません。逃げた「韓信(かんしん)」を追いかけて、連れ戻したのです」
と言う。
「劉邦(りゅうほう)」という人は、特別に知恵に優れているわけでもなく、戦が強いわけでもなかったが、部下の言うことを柔軟に取り入れる、人使いのうまさがあった。
この時も、大臣に
「お前がそんなに評価しているなら、その『韓信(かんしん)』に、将軍の位を与えよう」
そう言うと、大臣は、
「それでは足りません。彼は『国士無双(こくしむそう)』です」
と言った。
「それでは、大将軍に任命して、兵隊の指揮を全て任せよう」
ということになった。
このへんの大胆さが、「劉邦(りゅほう)」という人のすごいところなのだと思う。
おごそかな、任命の儀式を終えて、「劉邦(りゅうほう)」は「韓信(かんしん)」に今後、どうやって巻き返しをはかっていくかを尋ねた。
今回の、お題「匹夫の勇、婦人の仁」はこの時に出た言葉なのだ。
あー、また、前置きが長くなった。これだけで疲れた。
「あなたと、ライバルの『項羽(こうう)』を比べてみて、あなたがまさっていることがあるでしょうか?」
「いや、やつには、とても及ばない」
正直な言葉である。
そこで、「韓信(かんしん)」は「項羽(こうう)」の弱点をあげる。
「彼が怒れば、一度に千人の人が倒れるぐらいの強い男です。しかし、優秀な人材を登用し、信用して使うという勇気を持ちません。これは、『匹夫の勇:とるに足らない男の勇気』です。
また、彼は、人に優しく、相手が病気になれば涙を流して同情し、自分の食べ物を分け与えるほどですが、部下が功績をたてて、褒美を与えなくてはならなくなると、これをおしんで、たくさんの領地や地位を与えることができません。これは『婦人の仁:実態が伴わない優しさ』です」
そう言ってから、数々の、味方の優位さをあげてみせた。
「匹夫の勇」はさておき、「婦人の仁」については、現代の女性の皆様方には大変失礼なたとえである。そういう時代だったということなので、さらっと流してほしい。
とにかく、ここから、彼の大活躍が始まるのである。
興味がないとはおもうけど、司馬遼太郎先生が「項羽と劉邦」という小説を書き、横山光輝先生が漫画にしているので、読んでみるのもいいかもしれない。
ほかにも、何人もの先生方が、この時代を題材にして、独自の解釈で、小説や漫画を書いている。
知らないから責任は持てないけど、もしかして、ゲームになってたりしてないかな。話は、三国志並みに面白いんだから。
さて、またも、前置きが長くなった。
ただでさえ少ない、このブログを見てくれる人がますます減ってしまいそうで怖いのだが、背景を説明しないと前に進めないもどかしさがある。
こっちだって、「退屈だろうなあ」と同情しながら、事実をならべるのは、気が重い。
次回は、しっかり脱線しよう。
今日はここまで。