跖狗吠尭(せきくはいぎょう)〜2
とーとです。
やっと体が少し動くようになりました。
まだ、頭がボケーっとしてます。もともとです。
さて、前回、名前のことを少し話した。
ずいぶん前に、自分の子供に「悪魔(あくま)」と名付けようとして、役所で受け付けてもらえず、裁判所に提訴されるまでなったことがある。(正確には、一度受け付けられてから不受理になった)
受け付けられなかった理由は、いくら自分の子供でも、「子供の福祉を害するおそれがある」命名は許されないということ。
子供は、親の私物ではなく、一個の独立した人格を持っている。
少し言い回しが難しくなってしまったが、要は、いくら自分の子供でも、将来いじめにあったり、世の中に出てつらい思いをするような名前は許されないということ。
いくら自分の息子でも、親の勝手にできることではない。
この話は、親には親の言い分があって、「悪魔」が必ずしも悪い意味ではないことを主張したが、その後、訴えを取り下げたらしい。
とーとの名前は、内緒なので明かせないが、お父さん(君のおじいさん)が、小説家を目指していた時のペンネームだったそうだ。
しかし、迷信になるかもしれないが、画数がとても悪かった。
だから、君に名前をつけるときには、とても画数に気を使った。
君の名前には、画数以外にも、多くの意味と願いが込められている。
ただ、君は、とーとのものでも、お母さんのものでもない。君は君だ。
どういうふうに君が受け止めているかはわからないが、なるべく、ひとりの人間として君の気持ちを尊重して付き合ってきたつもりだ。非力だけどね。
名前の話題で、次回も引っ張ろう。
さて、本題の「盗跖の犬は尭に吠ゆ」について。
「韓信(かんしん)」は一時、大きな勢力を持ち、王の位にもついた。
主君の「劉邦(りゅうほう)」から、軍を出すように命令が下ったとき、ひとりの家臣が言った。
「今は、独立して、『劉邦(りゅうほう)』『項羽(こうう)』と並ぶ、第3の勢力となり、ゆくゆくは、天下を狙うべきです。軽々しく、『劉邦(りゅうほう)』のために軍を出して、部下として仕えるのではなく、両者を争わせ、様子を見て、動くべきです」
この進言に、韓信(かんしん)は、大いに迷ったが、結局この意見を採用せず、「劉邦(りゅうほう)」のために軍を出した。
その家臣は、このままだと「韓信(かんしん)」は、滅びかねず、そのときに、謀反を勧めたとして、自分も殺されてしまうことを恐れて、気が狂ったっふりをして、そのもとを去った。
その後、「韓信(かんしん)」は、「項羽(こうう)」が滅びると、その力を恐れられ、地位も、領土も大きく削られた。
こうなると、「韓信(かんしん)」としては、不満である。
とうとう、謀反をおこそうとして、事前に発覚して、処刑されてしまう。
処刑される前に「自分の勢力が絶頂の時に、家臣の進言を聞いていればこんなことにはならなかった」そう言い残した。
「劉邦(りゅうほう)」は、それを聞いて、その家臣を探し出し、釜で煮殺すように命令を出した。
その時に、家臣が言った言葉が、お題の「盗狗吠尭(せきくはいぎょう)」である。
「極悪人である『盗跖(とうせき)』の飼っていた犬は、聖人として尊敬される『尭(ぎょう)』に吠えましたが、これは、『盗跖(とうせき)』が尊く、『尭(ぎょう)』が卑しいと思ってのことではないのです。犬は、必ず、その主人ではないものに吠えるのです。善悪の問題ではありません。私は当時、「韓信(かんしん)」に仕えていました。だから、彼のために進言を行なったのです」
この言葉によって、家臣は、罪をまぬがれて、釈放されたということだ。
余計な話が長くなって、本題が少しになってしまった。
今日はここまで。