曳尾於塗中(おをとちゅうにひく)〜3
とーとです。
ぜ、絶好調です。そんな気がします。
尾を泥の中に引きずって生きて行く亀。
本当に、とーとは、君のいうとおり商才がないです。
大金持ちになるより、支配者になるより、有名人になるより、仙人みたいになりたかったなあ。
超能力みたいなものにもあこがれていた。
しかし、人に見えないものが見えるわけでもなく、幽体離脱ができるわけでもなく、スプーン曲げもできなかった。
超能力をあきらめてから、
気ままに生きて、しばられずに、そこそこ食べていけて、知的好奇心が満たされる生活ができればそれでいいと思っていた。
こんな、とーとに、金もうけへの情熱は求めようもなかった。商才がないのはそんなこともひびいている。お金はあるにこしたことはないと思っていたが、必要な時に、必要なだけ手に入るものだとなんとなく思っていた。
権力への欲望もうすかった。そんなの、面倒なだけだと思っていた。
やはり、泥の中で、尾を引きずって、気ままに生きて行くのが望みだったように思う。
しかし、世の中は、そういうのを許してくれない。
真面目にやれば、それだけ、周囲の期待が高まってしまう。小心者なので、裏切るのはいやだから、無茶振りも、真に受けて、真剣に取り組んでしまう。
疲れ果てた。それが、病気への引き金だった。
そして、君の母さんと出会い、君が生まれた。
君が来てくれた。
泥の中で暮らして行くことはさらに遠ざかった。
まあ、才能もなく、それでもこうしてなんとかやっている。
君が来てくれたからだ。
君がいるから、一生懸命がんばる。それだけだ。
とーとだけではない。世の中のお父さん、お母さんたちの多くは、同じ思いで毎日を頑張っているのだと思う。
来てくれてありがとう。
今日は、ここまで。